パノラマ科学館 
 デジカメのノイズ
P1 1 デジカメのノイズによる画像の影響
   2 デジカメのノイズはなぜ起こる
P2 3 デジカメノイズの測定法
P3 4 測定結果
P4 5 まとめ
   6 画像のノイズ除去方法
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P5 8 他機種との比較
   9 長時間露光の参考例

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3 デジカメノイズの測定法

 ・ 手持ちのカメラ、2機種について測定しました。
  Nikon D100 Olympus E-10
画像センサ 23.7 ×15.6mm サイズ原色CCD
(APSフィルムサイズとほぼ同等)
2/3型(インチ)原色インターレースCCD
8.8o×6.6o
総画素数
最大 横・縦ピクセル数
631万画素
3008 x 2000
400万画素
2240 x 1680
測定条件 ISO 200/400/640/800/1250/1600/(3200)/(6400) 80/160/320
露光時間 1/30,1/15,1/8,1/4,1,2,4,8,15,30,60,120秒 1,4,8,15,30秒
温度 0,10,20℃
 (30℃については冬場のため後日追加)
0,10,20,30℃
備考 E-10のデータを元にどう測定すべきかを決定し、系統的に測定した結果をまとめる。 またE-10との特性の違いも含め興味ある結果が見られた 2年前からデータ測定を始めたが、恒温槽のない個人の環境で充分な測定ができなかったが、測定の方向付けができ、参考データとして2機種の比較をすることも有効と思われ掲載する
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[ 測定法 ]

 1) 外部からの光を遮断して、内部の雑音信号を測定するためレンズキャップをした上、レンズ先端を黒い布で覆ってシャッターを切ります。
 ( マニュアル露光モード )

 2) 撮影画像フォーマットは、本来TIFF形式か、RAWデータで評価することが望ましいですが、画像サイズその他の関係で
 サイズ Large
 品位  Normal
 形式  JPEG  としました。
 カメラ設定は出荷状態です。

 3) 撮影した画像データをパソコンで吸い上げ、フォトショップのヒストグラム機能を使って数値化し評価します。
   合わせて画像としてどの程度の影響を受けるかサンプル画像を見ます。

 4) ヒストグラムは雑音信号強度の分布を棒グラフで表します。

 ヒストグラムの意味を理解していただくため、3種類の画像とそのヒストグラムを比較して見ていただきます。
下図 (1)、(2)、(3)は それぞれ 全面が白、黒から白へのグラデーション、全面黒のヒストグラムを表します。

  ヒストグラムのx軸では、左端が最も暗いカラー値(0)で、右端が最も明るいカラー値(255)を示します。
 y軸はカラー値のピクセル総数を表します。



注) 下のグラデーションのバーはヒストグラムで表される輝度の目安を示しています。

 (1) 白は、全てのピクセルが、明度10、輝度値 255の一番右だけに ピクセルが集中しています。
    平均値は全て255のため 255。

 (2) 明度0 輝度値0の黒から、明度10 輝度値255の白のグラデーションのため、輝度は均等に分布しています。
    平均値は0〜255の平均値の 128。 (上では精度の関係で端数が出ていますが)

 (3) 黒は、全てのピクセルが、明度0、輝度値 0 で一番左だけに ピクセルが集中しています。
    平均値は全て0のため 0。

更に、フォトショップではこれら輝度の平均値が表示されるので、この数値を輝度の平均として評価に利用します。

 5) 画像の影響度画像は全体の縮小画像と、端部を原寸ピクセルサイズで切り出したものを表示します。
  Nikon D100 Olympus E-10
画像全体
サンプル表示
備考 D100のノイズは部分的に差異が大きいため、各四隅を50x50ピクセルで分割して元ピクセルサイズで表示 E-10のノイズは画面全体ほぼ均一のため、左上の 100x100ピクセルを元ピクセルサイズで表示


 6) サンプル画像とヒストグラムの関係



 ISO 200 1秒ではほとんどノイズがないため 平均値 0。

 ISO 200 120秒ではかなりのノイズが含まれるので輝度128位までのピクセルが分布し、平均値は15.63。

 ISO 640 120秒では 真っ白に近いスポットも含まれ輝度255位までに分布し、平均値は59.16。

これらの意味合いで測定値を平均値で評価します。

. 7) 実際の撮影映像とノイズの状況から使用可能範囲の目安を求めてみます。

[ Nikon D100 ]

 7) 同一の被写体をISO感度を変えながら被写体とノイズ画像を同時に撮影し、検討しました。

条件
  - 気温 8℃
  - ISO 200/400/640/800/1260/
       1600/(3200)/(6400)
  - シャッター優先 1/000秒固定
  - 絞りはシャッター速度・ISOに対応したオート

 画像の縮小イメージと上下左右4隅の 50x50
ピクセル元画像 およびヒストグラム

 ISO感度の下に評価コメントを付けました。

 ISO400までは画像からノイズは全く感じないが640を越える頃から元ピクセルでみると気にすると空の色にむらができている

 ISO1250になると元ピクセルでは気になる程度になった

 ISO1600では縮小画像でも空の色が変わったのが明確に解る

 ISO3200相当以上ではかなり目立ち実用範囲外

 8) ノイズの許容値

これらの状況から実用上 ヒストグラムのノイズの平均値が1以下 (ISO1250以下での撮影)で実用に耐えられると判断できるものとしました。

但しこれは、画像の使用目的によりレベルは異なります。
またレタッチで明るさを増す場合、ノイズが拡大されるので更に低いレベルが要求されます。

また ISO640 と ISO800 ではノイズの平均値が逆転していますが、測定上の誤差と思われます。

[ Olympus E-10 ]
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 E−10のノイズは D100とは趣が異なり、画面全体に徐々に輝度が上がるノイズでした。
サンプル画像でもわかるようにノイズレベルが 10程度でも画面にそれほどの支障が出ません。
従って 10以下で実用に耐えられるレベルと判定しました。

 露光条件がノイズに対し厳しくなりノイズレベルが上がっていっても画像全体の均等性は変わらず 20頃から明るい輝点が明確になります。
50のノイズだらけでさえも全体均等です。

この差については後に比較検討します。

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